
始発で出発、八高線を延々とたどって8時過ぎに寄居駅に到着。JR八高線のほか、東武東上線と秩父鉄道本線が接続する、このあたりでは規模の大きな駅です。3社が改札を共用していて、なぜか東上線にICカードを利用して出入りする場合は共用改札と東上線ホームへの通路入口の両方でカードタッチする必要があるというややこしいことになっています。

鉢形城は荒川と深沢川という二つの川に挟まれた天然の要害にあります。特に荒川は幅広で流量が多く武装した状態で渡るのは難しい上に、写真の通りの断崖です。ほとんど垂直の岩壁を登らなければ城内に入れません。

寄居駅から歩いてくると最初にたどり着くのは【笹曲輪】とよばれているエリア。いまは近代的な橋がかかっているので簡単に渡れてしまいますが、本来は荒川と深沢川に挟まれた、二つの川が合流するV字型の土地の一番奥であり、外部からは容易には入れないはずの場所です。本曲輪の背後に配置された最奥の曲輪です。
現在はここから大手に向かって、城内車道が縦断しています。
もともとこの位置に『入口』があったとは思えないのですが、このすぐ先、深沢川を渡った位置には【外曲輪】の【馬出】・【搦手口】があります。
100名城の公式ムックやWikipediaには『寄居駅から鉢形城までは徒歩25分』と記載されているのですが、実際には笹曲輪までは10分ほどでたどり着きます。
このまままっすぐ城址公園の反対側の端にある大手まで行くなら普通の人の脚で(4km/h)25分ほどかかると思いますが、公園の散策が目的の場合にはあまり意味のない数字ですよね??

曲輪にあった城址公園の全体図。これを公式サイトに載せて老いてくれれば良いのに。地図の右が北側です。寄居駅は荒川(地図中の大きな川)を渡り右上に伸びる道の先にあります。

笹曲輪と本曲輪の間には数mの段差があり、そこには石垣が残っています。石垣といっても江戸時代の城郭のような強固なものではなく、土塁の土止めのような感じです。

御殿下曲輪(本曲輪東側の低い部分)を縦断する車道。朝8:30でもそれなりの交通量がありました(奇跡的に車が途切れたところで撮影しましたが)。散策される方はご注意を。
笹曲輪から入ってすぐの位置で撮影。右手フレーム外に御殿曲輪(御殿下曲輪より1段高い)があります。

御殿曲輪(本曲輪西側の高い部分、荒川沿いの絶壁の上)にあった休憩所。今回はここで朝食。荒川を渡る橋の駅側にコンビニがあります。

御殿曲輪の現状。
建物が現存していないのはもちろん、礎石や柱跡なども残っていません。ただの林の中の広場です。

【鉢形城本丸址】の碑。この御殿曲輪が城内で一番高い部分です。
御殿曲輪とは呼ばれていますがどこに御殿があったのかはこの場所ではまったく判りません。(歴史館には復元ジオラマがありますが)。

これも御殿曲輪にある、田山花袋の漢詩の碑。
襟帯山河好雄視関八州
古城跡空在一水尚東流
襟帯の山河好く
雄視す関八州
古城跡は空しく在りて
一水は尚、東に流る
有名な詩らしいのですが全然知りません(ヲイ)

御殿下曲輪。写真左手の高くなっている部分が御殿曲輪です。うっすらと遊歩道らしき物が見えますが歩く人もなく…

御殿下曲輪の、車道東側(御殿曲輪と反対側)の部分は植物園のようになっています。まぁ季節が季節なので花がきれいに咲いている…というわけではないのですが。

植物園の中の様子。
一応門はありますが常時開放されているようですね??

城内にあるシルバー人材センター。
城址公園のほぼ中央にありますが観光・展示のための施設ではありません。【鉢形城歴史館】は城址公園の南の端(駅から遠い方)にありますので、スタンプ狙いの人はそちらへ…。

シルバー人材センターのすぐ先で道がいくつかに分岐しています。このあたりが本曲輪大手になるのかな。右手の土盛りは、付近に何も説明がありませんでしたが何らかの城の構造の復元だと思います。
写真奥に延びている道は歴史館の方に行く近道だと思いますが、いまは大手方面に進みます。

御殿下曲輪から御殿曲輪へ登る階段がありましたが、かなり登りにくそう…登った先は本丸碑・田山花袋碑があったあたりだと思われるので登りませんでした…

一番太い車道に沿って歩いてみましたが何もないまま城外に出てしまうようなので戻ってきました。左手が【御殿下曲輪】、右手が【二の曲輪】です。

【二の曲輪】に渡ると【城山稲荷神社】があります。本殿までにはいくつか鳥居をくぐるのですが、これはその最初の1つ。よく見ると写真奥にさらに2つ鳥居が見えます。

【二の曲輪】と【三の曲輪】の間の堀。堀の中を区切るように【畝】があるのが見えます。これは城内に侵入した敵兵が堀に沿って自由に移動するのを妨げるためとも、堀の中に水を溜めるための物とも言われているそうです。

二の曲輪から三の曲輪方向を見ています。このあたりは堀や土塁がよく復元されていて、むしろ本曲輪より城の構造がよく判ります。

【三の曲輪】。奧側(荒川に近い側)が一段高くなっているのが判ります。【秩父曲輪】と呼ばれているそうです。

三の曲輪に復元された井戸。

中を覗いてみましたが、周囲を囲む石のみ復元されていて中は完全に埋まっています。

三の曲輪の一角にある【馬出】。
周囲を堀で囲まれて独立しています。

馬出に渡る橋。
かつてもここに橋があり、馬出側には門もあったようです。

馬出の上に来ました。
堀で周囲を囲った上、さらに馬出の上も土塁で囲まれています。周囲から中の動きを見られないようにするための構造だそうです。

馬出は土橋〜荒川沿いの断崖上の通路を通って二の曲輪に連絡しています。
通路から見下ろす荒川。

馬出の上から二の曲輪との間の堀を見下ろすとこんな感じ。

三の曲輪にある建物跡。2棟の建物跡が確認されており、1つは立体復元、もう1つは柱跡の平面復元になっています。

三の曲輪、建物跡の近くにある池。

このあたりはかつて庭園だったということで、池や樹木でそれを表現しているのだそうです。
…いまいち壮麗な庭園という感じはしませんが。

三の曲輪が一番建築物の復元が進んでいます。
写真は虎口と塀の一部。

虎口を外側から。

なぜかこんな【かるた】の立て札がありました。僕は2つしか見つけられなかったのですが、イロハ47文字すべて城内にあるのでしょうか。

このあたりが【大手】。写真左前方には【諏訪神社】があります。その奥が三の曲輪、右手は外曲輪です。
この写真を撮影した位置のほんの数m後ろには、八高線の線路があります。道は確かめていませんが、ここからだとむしろ八高線の折原駅の方が近いような気もします。

八高線の線路は踏切以外は柵もないので、ぼーっと歩いて線路に踏み込まないように…。

城址公園の最南部。
このあたりに池だの弁天社だのいろいろあったらしいのですが、現在の状況ではどこになにがあったのかほとんどわかりません。

そのまま進んで、深沢川を渡ります。荒川ほどではありませんが数mの深さの谷になっており、武装して渡るのは難しかったのだろうと思われます。

地図には【連雀小道】という名前がついていましたが、このあたりは城址公園の外で民家が並んでいます。

連雀小道から城址公園見学者むけの駐車場には入れます。かなりの規模がありますが、このときは(午前10時)10台ほどしか駐車していませんでした。

駐車場の奥に【鉢形城歴史館】があります。鉢形城のジオラマと、CGアニメによる城内ツアーや鉢形城の歴史を解説したビデオが観られます。館内は撮影禁止だったので写真はありません。
入場料200円、開館時間9:30〜16:30。
この歴史館受付で100名城スタンプゲット、これで関東地方は千葉の佐倉城を残すのみ!
なお、歴史館の開館時間外は駐車場ゲートのポストに100名城スタンプが置かれているそうなので、いつ来てもスタンプは押せるようです。

歴史館見学後は、深沢川東側の【外曲輪】を回ります。土塁の上の道を進んでいます。写真左側が外曲輪、右側は城下町だった場所です。

外曲輪は全体的にこんな感じ。外側の土塁が復元されている以外はほとんどなにもありません。
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【鉢形城】
JR八高線・秩父鉄道線・東武東上線の寄居駅より徒歩(笹曲輪まで徒歩10分、歴史館まで25分)
城址公園は見学自由、ただし照明設備はないようです。
【鉢形城歴史館】
http://www.town.yorii.saitama.jp/site/rekishikan/
開館時間:9:30〜16:30(16時最終入場)
休館日:月曜(祝日の場合は翌日振替)、祝日の翌日、年末年始
※休館中は駐車場正面入口のポスト内にスタンプを設置
入館料:200円