2008年05月06日

てつのくじら館

岡山旅行2日目。

今日は広島県まで脚を伸ばします。
第1目的地は呉。昨年4月に出来た海上自衛隊の史料館…通称

てつのくじら館

です。開館のニュースを聞いて以来『ぜひ行きたい』と思っていたので、せっかく岡山まできたならついでに行ってしまおうと。

倉敷〜呉は直線距離で100km以上。『ついで』というほど近くはないのですが、また東京から出直すことを考えるとこのチャンスを逃すわけには行きませんw

呉駅から海の方へ。デッキを歩いていきます。
2年前に大和ミュージアムや江田島に行ったときにも歩いた道。
こんなに早く、またここを歩くことが出来るとは…。

ショッピングビルを通り抜けると、、、

てつのくじら館外観

でっかい潜水艦!

#念のため付け加えると、これはハリボテではなく退役した本物の潜水艦です

資料によると全長76mということですから、2年前に見学した護衛艦【ひえい】159mの半分しかないわけですが、陸上にあげられて見上げるような格好になっているせいか巨大に見えます。

ではいよいよ内部に突入!

最初から潜水艦に入れるわけではなく、まずは後ろの建物の中の展示から見学。

なんと入場無料です!!

受付の方の話によると、前日までの混雑はすさまじかったとのこと。
昨年出来たばかりですから人気がありますね。
…この日(5/6)も一応休日でしたが、旅行や帰省の人はUターンしたようです。

館内1Fはミュージアムショップなどがあるだけなので、2Fへ。

そこは『掃海』に関する展示。

機雷掃海艇は地味な存在です。
1990年代のペルシャ湾派遣まで、そういう任務があるということすら知らなかった人も多いのかも。…でも海上自衛隊でもっとも『実戦(というか実践?)』経験豊富な部隊なんですよね。
第2次世界大戦時、日本軍は防衛のため、連合国は日本艦船の行動を封鎖するため、あわせて6万個以上の大量の機雷が日本近海に設置されていました。終戦後これを除去し、日本からの、あるいは日本へ向かう船舶が安全に航行できるようにしたのは掃海部隊の功績でした。主要航路の安全宣言が出されたのは昭和27年。終戦から7年間もの間、黙々と機雷除去を続けていたわけです。

#実は航路からはずれた海域にはまだ機雷がかなり残っており、掃海作業は現在も続いているそうです。

そういう歴史もあり、日本の掃海艇部隊は世界でもトップレベルの技術と実績を持っているとか。

なのに、ミリオタもアンチも大砲がニョキニョキはえた船の方にばかり気を取られがち。…かくいう僕もこの展示を見るまではよく知りませんでした。
このように掃海艇に特化した展示は貴重です。

てつのくじら館2F展示室

フロアの一角には掃海艇の後甲板を模した展示がありました。
クレーン、各種掃海具などが実際の掃海艇甲板上と同じように並べられています。

掃海艇ブイ

写真3はサメの顔がペイントされていて厳つい印象を受けますが、掃海具のロープに付けるフロート。魚雷やミサイルの類ではありません。

掃海艇ブイ2

こちらは一回り小さいサイズのフロートで、アザラシのようなペイント。

続いて3F。

こちらは潜水艦に関する展示です。

潜水艦の役割とか構造とか歴史とか、そういったものがパネルと模型で展示されているのですが…

興味を弾かれるのは実物大の潜水艦内の部屋の模型。
乗組員室。
非常に狭い3段ベッドと、普通の事務用ロッカー1つ。
それが乗組員のプライベート空間の全て。

でも映画【Uボート】で見たような、ものすごく狭い第二次世界大戦当時の潜水艦に比べると大分広いですね。日本丸や氷川丸などの民間の水上船と比べて多少狭いかな、という程度。いろいろ発達したと言うことなのでしょう。
ちゃんと個室になっている洋式トイレとシャワーもありました。【三笠】で見た明治時代の軍艦の衛生設備とは格段の違い。

潜水艦では椅子が収納庫

それでもやはり、潜水艦はスペースが少ないので食堂の椅子が食料保存箱になっていたり。ジャガイモのタマネギ。常温で長期保存できる食材が多いのでしょう。

潜水艦内での食事は1日4食、6時間ごとにあるそうです。

潜水艦の食事

メニューの一例。
手前右が昼食、手前左が夕食、奧右手が夜食、奧左手が朝食だそうです。けっこうにちゃんとした物を食べていますね。
僕は『美味しい食事が精神の安定をもたらす』と思っているので、潜水艦のような特殊な環境でこそ食事の質は大切だと思います。

天井から潜望鏡が下がってました。
覗いてみましたがビデオでした…。館外の様子が見えたら面白かったのに。

〜〜

次はいよいよ、本物の潜水艦内に突入します。


簡単な説明のビデオを見て、展示館3Fからいよいよ潜水艦【あきしお】へ。
前日(5/5)は長蛇の列が出来ていたそうですが、この日はすぐ入れました。

〜〜

本来の潜水艦の入口はごく小さいハッチ。
見学用に、側面に大きな穴が開けられています。

入ってすぐのエントランスホールのような場所は、元は士官寝室の1つ。
先ほど展示館内で見たのと同じシャワーとトイレもあります。
2段×2つのベッドを取り外して入口にしたようです。

そこから潜水艦前部の方へ向かって歩いていきます。

まず作図や写真の現像に使われる部屋。
狭いです。一人が作業するだけのスペースしかありません。

次に調理室。
これも僕の家の台所のほうがよほど広いくらいです。
設備は地味。他の船舶を見学したときには、調理室というと巨大な鍋が置いてあったりして面白かったのですが…。
ここは、その辺の家電店に売っていそうな冷蔵庫、しかも一人暮らし用の小型の物が置いてあったり。蛇口には浄水器らしき物(シーガルフォーかな?)がとりつけてあったり。

潜水艦ハッチ

少し進むと、潜水艦らしく昇降ハッチが。
ただし、現在は上り下りは出来ません。狭い梯子で素人が上り下りするのは危険だろうし。

潜水艦士官寝室

その先に、また士官室。
ベッドが2段。一般乗組員の3段ベッドよりはややゆったりしています。
…水上艦なら士官は個室だったり、悪くても2〜4人で1部屋あるのですが、潜水艦では通路の脇のような所にベッド。ちゃんと『部屋』になっているのは艦長室だけだそうです。

その館長室も覗けたのですが、やはりかなり狭いです。
艦長・船長室にはつきものの応接室もありません。潜水艦には来客はまずないと思われるので当然と言えば当然ですが。

潜水艦士官公室

士官公室。ミーティングルームでしょうか?
カップなどが置かれているところを見ると、食事や休憩の場所でもあるのでしょう。狭いのですが一応普通の姿勢で座れそうです。大戦中の潜水艦にはなかったスペースでしょう。
この写真で向いているのと反対側の壁にはテレビがはめ込まれていました。
一昔前のテレビデオ。小型の、家電量販店で安売りをしているようなものでした。
これで映画のビデオでも見るのが航行中唯一の娯楽なんでしょうか…。

さっきから、潜水艦の【装備】としてのもの以外は、一人暮らしの学生の部屋みたいな家電製品ばかり見ているような気がします。そこまで予算が回らなかったのか、それとも軽量化のため敢えてそういう物ばかり選んだのか…。

この【あきしお】は20年前に就役した型ですから、最新型ではもっとマシになっているのかもしれません。

そしてさらに進むと…

発令所!


はっきり言ってここが一番見ていて面白いのですが、
残念ながら発令所内は撮影禁止なので写真はなしです。


壁から天井にまでとりつけられたパネル類、
部屋の後方には海図が広げられ、
部屋の中央部には2基の潜望鏡。

まさしく、期待に違わない潜水艦の心臓部の姿です。


天井には太い手すりが取り付けられています。
浮上・潜行時にはかなり大きく傾くため、立っている乗組員(操縦手以外の全員)はここに掴まっていなければ転倒してしまうとか。

そして最前部には操縦席。
一般的な船舶とは大きく違い、飛行機の操縦席によく似ています。
たしかに潜水艦は水中で三次元の機動をするため蛇輪ではなく操縦桿が必要ですね。
ただし、当たり前ですが窓はありません。

潜望鏡を覗かせてもらいました。
先ほどの展示館にあったデモ用のニセモノではなく、現在の呉の港内の様子をみることができます。もっとも、本来の潜望鏡は水面ギリギリからの視点。こちらはかなり高い位置から見下ろす感じになりますから、視点はかなり違う印象になるのでしょうが…。

〜〜

発令所を出ると、艦内見学は終了。
再びデッキを渡って展示館3Fへ。

最後の最後に、日米の潜水艦に搭載されていた双眼鏡で呉港を覗いてみて、すべての展示品の見学終了。
1Fのミュージアムショップで記念品を買って、大満足で【てつのくじら館】を後にしました。

〜〜

本物の潜水艦の内部を見たのははじめて。
いままでに見学した他の艦船…

明治期の戦艦【三笠】
現役の護衛艦【ひえい】
民間船【氷川丸】【羊蹄丸】
南極観測船【そうや】【ふじ】
訓練船【日本丸】

これらと比べて、いかに潜水艦が特殊なのかがよく判ります。
船舶に興味がある人にはお勧めです。

〜〜

【海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)】
http://www.jmsdf-kure-museum.jp/
JR呉駅より徒歩5分
開館時間:9:00-17:00(入場は16:30まで)
休館日:火曜(ただし祝日の場合は開館)、年末年始
    #連休などの場合は問い合わせた方が良いでしょう
入館料:無料(ただし混雑の場合は入場制限あり)
posted by MAX CARTER at 10:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 博物館
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